【2026年版】保険業界AI本気度ランキング

  1. 上場15社を徹底比較。AIを最も「使い倒している」保険企業はどこか?
  2. 1.AI日常浸透度:25点
  3. 2.本業変革度:25点
  4. 3.実現済み成果:20点
  5. 4.社員の自律AI化:15点
  6. 5.組織・制度化:10点
  7. 6.AIによる業態変革:5点
  8. 保険の「ど真ん中」までAIを実装した総合力
    1. 評価ポイント
  9. 「AIを使える」ではなく、実際に使われている強さ
    1. 評価ポイント
  10. 「利用率100%」をそのまま信じても3位にはしなかった
    1. 評価ポイント
  11. 社員がAIを使うだけでなく、自分で業務改善できる環境
    1. 評価ポイント
  12. 最終監査で大きく上昇した企業
    1. 評価ポイント
  13. 会社規模より「本業への深さ」で上位へ
    1. 評価ポイント
  14. AIを保険販売モデルそのものへ組み込む
    1. 評価ポイント
  15. 給付金支払査定へ生成AIを投入
    1. 評価ポイント
  16. AI-OCRと不正請求検知を本番実装
    1. 評価ポイント
  17. AIが営業成果へ直結した異色の強さ
    1. 評価ポイント
  18. 第11位 アニコム ホールディングス【34点】
  19. 第12位 アイリックコーポレーション【30点】
  20. 第13位 ブロードマインド【13点】
  21. 第14位タイ エージェントIGホールディングス【0点】
  22. 第14位タイ FPパートナー【0点】
  23. 1.「AIを導入した」だけでは差がつかない
  24. 2.利用率が高い会社と、本業変革が深い会社は別
  25. 3.「全社員に導入」と「全社員が利用」は別
  26. 4.「将来○万時間削減」と「すでに削減した」は別
  27. 5.保険会社と保険代理店を同じ物差しで雑に比較してはいけない
  28. 6.AIを「売っている会社」が必ず上位ではない
  29. 🥇 東京海上ホールディングス
  30. 大手保険・保険持株会社
  31. 生命保険・ネット保険・保険グループ
  32. 保険代理店・FP・保険プラットフォーム

上場15社を徹底比較。AIを最も「使い倒している」保険企業はどこか?

生成AIの導入を発表する保険会社は急速に増えています。

しかし、

「ChatGPTを導入した」
「全社員に生成AIを使える環境を配った」
「AI専門部署を作った」

というだけで、本当に「AI活用が進んでいる企業」と呼べるのでしょうか。

本ランキングでは、企業の知名度や収益規模、時価総額、社員数には原則として点を与えていません。

評価するのは、ただ一つ。

「その企業が、どれだけ本気でAIを使い倒し、実際の仕事や事業を変えているか」

です。

損害保険、生命保険、ネット保険、保険代理店、FP・保険プラットフォーム企業まで対象を広げ、2026年8月22日時点で一般投資家が売買できる通常市場の「保険業」に分類される上場15社を母集団として調査しました。

TOKYO PRO Marketはプロ投資家向けの特殊市場であるため、本ランキングから除外しています。

その結果をもとに、2026年版「保険業界AI本気度ランキング」を発表します。


評価ルール

本ランキングは100点満点で評価します。

1.AI日常浸透度:25点

「AIを導入したか」ではなく、

  • 社員の何%が実際に利用しているか
  • 一度だけではなく、継続的に利用されているか
  • AIが日常業務の自然な一部になっているか

を評価します。

全社員にアカウントを配布しただけでは高得点にはなりません。

また、「一度でも利用した社員の割合」と「月間・定期的に利用している社員の割合」は分けて評価しています。


2.本業変革度:25点

メール作成や文章要約だけではなく、その企業自身の本業へAIがどこまで入り込んでいるかを評価します。

保険会社では、

  • 集客・マーケティング
  • 営業・代理店支援
  • 申込・引受
  • 契約保全・事務
  • 保険金支払・損害調査
  • 不正検知・コンプライアンス
  • 価格設定・リスク管理
  • コンタクトセンター・顧客対応

などを確認しました。

一方、保険代理店やFP、保険プラットフォーム企業には、そもそも「引受」「保険金支払」を行わない企業があります。

そのため、持っていない業務を理由に減点するのではなく、

「その企業が実際に営む主要な価値連鎖のうち、どこまでAI化しているか」

で評価しています。


3.実現済み成果:20点

将来目標ではなく、すでに確認できる成果を評価します。

特に重視するのは、

  • 作業時間の削減率
  • 処理時間のBefore→After
  • 生産性向上
  • 営業成果
  • 顧客体験の改善
  • 品質向上

です。

「年間○万時間削減予定」
「PoCでは○%改善」
「今後○%効率化する見込み」

といった数字は、実現済み成果とは分けて評価しています。


4.社員の自律AI化:15点

中央のIT部門だけでなく、現場社員自身が、

  • AIエージェント
  • AIツール
  • Bot
  • 自動化
  • アプリ
  • プロンプト
  • AIを利用した業務改善

を生み出せる状態になっているかを評価します。

「会社がAIシステムを内製した」ことと、「現場社員自身がAIを作る」ことは別として評価しています。


5.組織・制度化:10点

  • AI専門部署
  • CoE
  • AIガバナンス
  • 社内教育
  • AI人材育成
  • 社内コミュニティ
  • 継続的な再教育
  • 経営レベルの推進体制

など、AI活用を一時的な流行ではなく組織の仕組みとして定着させているかを見ます。


6.AIによる業態変革:5点

自社でAIを使った経験を、

  • 新しい保険サービス
  • 顧客向けAI
  • 新しい販売モデル
  • 保険金請求・相談体験の変革
  • 外部企業向けAIサービス

などへつなげている場合に評価します。

単にAI製品を導入しただけ、AI商品を外部へ販売しているだけでは高得点にはしていません。


採点の再現性を高めるためのルール

今回の保険ランキングでは、評価者の感覚だけで「21点」「22点」と自由に付けないよう、各評価項目に段階式の採点アンカーを設定しました。

たとえばAI日常浸透度では、

0 / 5 / 10 / 14 / 17 / 20 / 22 / 25点

の段階だけを使用。

実現済み成果も、

0 / 4 / 8 / 12 / 16 / 20点

の段階で評価しています。

新しい材料が見つかっても、旧点へ感覚的に「+1点」するのではなく、その材料によって採点アンカーの段階が変わるかを確認してから点数を変更します。

これによって、別のAIや別のタイミングで再調査した場合でも、できる限り同じ結果を再現できるようにしました。

※商社・銀行ランキングは、この採点アンカー導入前に作成したランキングです。そのため、商社96点・銀行92点・保険80点という点数を単純に業界横断で比較することはできません。将来、各業界1位を横断比較する段階では、同一基準へそろえて再評価します。


評価しないもの

以下は、原則として順位の直接的な加点要素にはしていません。

  • 売上高
  • 時価総額
  • 社員数
  • 会社規模
  • 有名企業かどうか
  • AI投資額だけ
  • AI関連企業への出資だけ
  • AIアカウントを配布した人数だけ
  • PoCだけ
  • 将来目標だけ
  • 削減見込みだけ

つまり、大手損害保険会社だけでなく、ネット保険や保険代理店が上位へ入ることも普通にあり得るランキングです。


ランキングの確定方法

本ランキングでは、最初に順位を作って終わりにはしていません。

① 母集団15社を固定
→ ② 採点ルールを固定
→ ③ 15社すべてを走査
→ ④ 上位候補を深掘り
→ ⑤ ランキング作成
→ ⑥ 「このランキングは間違っている」と仮定して反証検索
→ ⑦ 順位が変わった場合は再調査
→ ⑧ 順位変動がなくなるまで繰り返す

という方法を採用しました。

実際に監査の途中では、

  • SBIインシュアランスグループ
  • かんぽ生命
  • アドバンスクリエイト
  • T&Dホールディングス
  • ソニーフィナンシャルグループ
  • アイリックコーポレーション

などの順位・評価が何度も動いています。

特に、

  • 「全社員が利用可能」と「全社員が実際に利用」を混同していないか
  • 「一度でも利用」とMAUを混同していないか
  • PoCや将来予定を実績として扱っていないか
  • 削減見込みを実削減として扱っていないか
  • 子会社の成果を持株会社全体の成果へ単純換算していないか
  • AI製品の外販と、自社そのもののAI改革を混同していないか
  • 保険会社と保険代理店で不公平な採点になっていないか

について繰り返し確認しました。

最終的に、15社を再走査しても順位を動かす重大な新材料が見つからなくなった時点で、第1回ランキングを確定しました。


2026年 保険業界AI本気度ランキングTOP10

順位企業浸透25本業25成果20自律15制度10業態5総合
🥇1東京海上ホールディングス172520310580
🥈2SOMPOホールディングス20238610471
🥉3ライフネット生命保険201512910369
4MS&ADインシュアランスグループHD14204610458
5かんぽ生命保険10201239357
6SBIインシュアランスグループ10151637455
7アドバンスクリエイト1020437549
8T&Dホールディングス1015839247
9第一ライフグループ1015469145
10ソニーフィナンシャルグループ10101237244

第1位 東京海上ホールディングス【80点】

保険の「ど真ん中」までAIを実装した総合力

2026年版の保険業界AI本気度ランキング1位は東京海上ホールディングスです。

最大の評価ポイントは、生成AIを社員へ配ったことではありません。

東京海上では社内生成AI「One-AI for Tokio Marine」の利用が累計約670万回に達し、年間約11万時間の業務創出効果も公表されています。

しかし、それ以上に強いのが保険本業へのAI実装の広さです。

AI活用は、

  • 代理店問い合わせ
  • 引受判断
  • 価格設定
  • 保険金支払
  • 損害画像分析
  • 顧客対応

などへ広がっています。

代理店問い合わせ対応では約12%の業務削減、海外では保険金対応時間を約90%削減した事例も確認されています。

単なる社内効率化ではなく、保険会社の利益・リスク・顧客体験へ直接関係する領域までAIが入っていることが1位の決め手です。

評価ポイント

強み

  • 保険本業へのAI実装範囲が最も広い
  • 引受・価格設定・保険金支払までAI化
  • 複数領域で大きな定量成果
  • AIを顧客・代理店側の業務改善にも利用
  • AIガバナンス・組織体制も強い

弱み

  • 全社員のMAUなど、分母付きの日常利用率はSOMPOほど明確ではない
  • 現場社員自身による大量のAIエージェント開発という公開実績は限定的

社員自律AI化では他社に譲る部分がありますが、本業変革と実現済み成果の総合力で1位としました。


第2位 SOMPOホールディングス【71点】

「AIを使える」ではなく、実際に使われている強さ

2位はSOMPOホールディングスです。

最大の強みは、AIの利用実態を数字で確認できることです。

SOMPO AI Assistantは国内グループへ広く展開され、2025年5月時点で約1万9,000人が利用し、**MAU51%**を確認しています。

その後も利用者数は拡大しています。

AI活用は、

  • 営業
  • 保険金サービス
  • コールセンター
  • 社内ナレッジ

などへ広がっています。

保険金問い合わせ対応などでは、大幅な業務時間削減を確認したうえで展開を進めています。

2026年には国内約3万人規模のAIエージェント環境へ拡大していますが、検証段階の施策や将来効果については実現済み成果として先取りしていません。

評価ポイント

強み

  • MAU51%という実利用率
  • 国内グループ規模でAIを展開
  • 保険本業へ複数の特化型AIを実装
  • AIエージェント時代を見据えた共通環境
  • 組織・ガバナンスが強い

弱み

  • 東京海上ほど引受・価格設定・保険金支払など全方位の実績は確認できない
  • AIエージェント環境の一部は、まだ成果検証段階

AIの日常浸透という一点では、東京海上を上回る可能性もある企業です。


第3位 ライフネット生命保険【69点】

「利用率100%」をそのまま信じても3位にはしなかった

3位はライフネット生命保険です。

この会社は、ランキング監査で最も注意が必要だった企業の一つです。

2026年には「生成AI社内利用率100%」という非常に強い数字が公表されています。

しかし詳細を確認すると、これは社内LLMまたはGeminiを一度でも利用した社員の割合です。

MAU100%ではありません。

一方、2025年1月時点では、キャンペーンなどを行っていない月の**自発的アクティブ率54%**が確認されています。

このため、本ランキングでは「100%」ではなく、54%という定期利用に近い実績を重視しました。

それでも3位なのは、AIが会社全体へかなり高密度に浸透しているからです。

コンタクトセンターでは対話型AI・AIボイスボットを本番導入し、オペレーターにつながるまでの待ち時間を、

95秒 → 65秒

まで短縮。

さらに、現場社員自身が広告分析用AIエージェントを構築するなど、社員自律AI化でも強い実例があります。

評価ポイント

強み

  • 自発的アクティブ率54%
  • 比較的小さな組織へAIを高密度に浸透
  • コンタクトセンターで明確な顧客体験改善
  • 現場社員自身によるAIエージェント構築
  • AI活用を全社戦略として制度化

弱み

  • 「100%利用」は定期利用率ではない
  • 現在本番で確認できる保険本業領域の広さでは東京海上・SOMPOに及ばない

会社規模ではなく、AIの密度で上位へ入った企業です。


第4位 MS&ADインシュアランスグループHD【58点】

社員がAIを使うだけでなく、自分で業務改善できる環境

4位はMS&ADインシュアランスグループホールディングスです。

グループでは独自生成AI環境「AI Ribbon」を展開。

単に生成AIを使えるだけでなく、社員自身がマクロやツールを設計できる環境、コミュニティなども整備しています。

保険本業では、

  • 損害サービス
  • 代理店業務
  • 保険金不正請求対策
  • 画像の真正性確認

などへAIを実装。

生成AIなどで加工された画像を検知する仕組みを、実際の保険金支払業務へ導入しています。

一方、過去に公表された「年間約29万時間削減」などには見込み値が含まれるため、本ランキングでは実現済み29万時間としては扱っていません。

評価ポイント

強み

  • グループ全社員へAI環境を提供
  • 社員自身が業務ツールを作れる環境
  • 保険金支払・代理店業務などへAI実装
  • AIガバナンス・組織体制が強い

弱み

  • 「全社員が利用可能」と「実際の利用率」は別
  • 実現済みの定量成果では上位3社より公開材料が少ない

将来、MAUや実削減時間が明確に開示されれば順位上昇の余地があります。


第5位 かんぽ生命保険【57点】

最終監査で大きく上昇した企業

5位はかんぽ生命保険です。

初期ランキングでは11位でした。

しかし再調査を重ねると、現在動いているAI施策が想定以上に広いことが分かりました。

2026年1月から生成AIを利用した次世代コンタクトセンターを本番導入。

音声認識と生成AIによって応対記録の作成を自動化し、応対後の事務処理時間を最大約70%削減しています。

さらに、

  • 全支店の法人営業部社員向けAIロールプレイ
  • コンタクトセンターでのAIエージェント
  • 一部営業領域でのAI活用
  • マーケティング領域でのAI活用

まで広がっています。

全社AI包括契約による今後の展開は将来分なので、現在成果としては加点していません。

評価ポイント

強み

  • コンタクトセンターで最大約70%削減
  • 営業・マーケティングまで本番AIが拡大
  • 全支店規模でAI教育を実装
  • 大企業でありながら複数領域へ実装を進めている

弱み

  • 全社員の日常AI利用率は不明
  • 引受・保険金査定などの中核業務では上位企業ほどAI実績が多くない
  • 現場社員自身によるAI開発の公開事例は限定的

将来計画を除外しても5位まで上昇しました。


第6位 SBIインシュアランスグループ【55点】

会社規模より「本業への深さ」で上位へ

6位はSBIインシュアランスグループです。

この会社の強みは、AIが実際の保険オペレーションへかなり深く入っていることです。

SBI生命では、生成AIを利用したコールセンター後処理自動化システムを本番導入。

1通話あたり平均約3.5分だった後処理を、

原則ゼロ

まで短縮しました。

さらにSBI損保では、海外旅行保険のスーツケース破損画像をAIで判定し、損害確認・保険金支払手続きを自動化。

支払までの期間を、

最短3日 → 最短即日

へ短縮しています。

年間約5,000時間削減という数字は「見込み」なので、実現済み成果には使用していません。

評価ポイント

強み

  • コールセンター後処理3.5分→原則ゼロ
  • 保険金支払最短3日→最短即日
  • 保険の実務プロセスへAIを深く実装
  • 比較的小さなグループでも高い実装速度

弱み

  • グループ全体のAI利用率が不明
  • 現場社員自身がAIを大量構築している証拠は確認できない
  • 本番AIの領域数では上位企業より狭い

実現済み成果だけなら、保険15社でもトップクラスです。


第7位 アドバンスクリエイト【49点】

AIを保険販売モデルそのものへ組み込む

7位はアドバンスクリエイトです。

大手保険会社とは事業モデルが異なり、保険代理店・保険販売の価値連鎖で評価しました。

AI活用は、

  • マーケティング
  • 営業支援・教育
  • 顧客対応
  • AIアバター

などへ広がっています。

生成AIを利用した運用改善後に、オペレーターの生産性向上やアポイント獲得数の改善も確認されています。

ただし、業績KPIの改善すべてを「AIだけの効果」と断定することはできません。

そのため本業変革は高く評価する一方、実現済み成果は保守的に採点しました。

評価ポイント

強み

  • 保険販売の複数工程へAIを実装
  • AIアバターなど顧客接点にも展開
  • マーケティング・営業モデルそのものをAI化
  • AIが事業モデルへ近い

弱み

  • AI単独の定量成果を切り分けにくい
  • 全社の日常AI利用率は不明
  • 社員自律AI開発の公開事例は限定的

保険会社とは違う形でAI改革を進める企業です。


第8位 T&Dホールディングス【47点】

給付金支払査定へ生成AIを投入

8位はT&Dホールディングスです。

グループの大同生命では2026年4月から、給付金支払査定の医学判断を支援する生成AI「AIドクター」を本番導入しています。

保険会社にとって重要な給付金支払査定そのものへのAI実装です。

検証では、従来医師判断を求めていたケースの約70%をAIで代替可能と確認しています。

一方、初年度約1,800時間削減という数字は見込みのため、実現済み1,800時間としては評価していません。

評価ポイント

強み

  • 給付金支払査定という中核業務へAI実装
  • 約70%代替可能という検証を経て本番化
  • グループのAI・デジタル推進体制が強い

弱み

  • 1,800時間削減は将来見込み
  • グループ全社員の日常利用率は不明
  • 現在本番のAI領域数では上位企業に及ばない

「本番化したか」「まだ検証か」を厳しく分けた結果、8位です。


第9位 第一ライフグループ【45点】

AI-OCRと不正請求検知を本番実装

9位は第一ライフグループです。

第一生命では2026年4月、生成AIを活用した次世代AI-OCRを本番稼働。

読み取り精度の向上と運用コスト削減を実現しています。

また、グループの第一ネオ生命では、AIによる給付金不正請求検知を2026年4月から本格運用しています。

一方、これらの強い施策を特定のグループ会社だけの実績から「第一ライフグループ全体が同じレベルでAIを使っている」とは評価していません。

評価ポイント

強み

  • 次世代AI-OCRを本番導入
  • 給付金不正請求検知AIを実運用
  • AI・デジタル推進体制が強い
  • 本業事務へAIを実装

弱み

  • グループ全体のAI利用率が不明
  • 公開されている定量成果が上位企業より少ない
  • 子会社実績をグループ全体へ拡大できない

今後、グループ横断の利用実態が見えれば順位上昇の可能性があります。


第10位 ソニーフィナンシャルグループ【44点】

AIが営業成果へ直結した異色の強さ

10位はソニーフィナンシャルグループです。

順位だけを見ると低く感じますが、特定施策の成果は非常に強力です。

ソニー生命の営業支援AI「Next Best Action」では、AIが顧客ごとにコンタクトテーマを提案。

利用者と非利用者を比較した結果、

面談数 +14%
成約数 +16%

という差を確認しています。

これは単なる業務時間削減ではなく、AIが営業成果そのものへつながった事例です。

一方、

  • AI秘書
  • AI接客
  • 解約予測

などには、2026年度以降の開始予定やPoC段階の施策が含まれています。

今回は将来分をすべて除外したため、本業変革の領域数では上位企業に届きませんでした。

評価ポイント

強み

  • 面談数+14%
  • 成約数+16%
  • AIが営業成果へ直接接続
  • 明確な定量成果

弱み

  • 現在本番のAI領域数は限定的
  • 将来予定・PoCを除外すると評価対象が少なくなる
  • 全社員の日常AI利用率や社員自律AI化の公開材料が少ない

1つのAI施策の「質」だけなら上位候補です。


11~15位

第11位 アニコム ホールディングス【34点】

ChatGPT Enterpriseを全社員へ導入していることを確認しています。

また、AI・ロボット・動物医療・予防を組み合わせた「保険3.0」の方向性は非常に特徴的です。

一方、「全社員に導入」は全社員が日常的に利用していることを意味しません。

現在の保険業務で、AIによって何%改善したかという実現済み定量成果が上位企業ほど確認できないため11位です。


第12位 アイリックコーポレーション【30点】

保険ショップ「保険クリニック」の直営店では、AIを利用した保険証券の自動分析を本番運用しています。

さらに、

  • AI-OCR
  • AS FiNDER
  • 保険業務向けAIソリューション

など、保険×AIを事業として展開しています。

ただし、

AIを顧客企業へ提供していること

と、

自社社員が日常的にAIを使い倒していること

は別です。

自社本業のAI化は評価しつつ、外販AIだけで日常浸透・社員自律AI化を高得点にはしていません。


第13位 ブロードマインド【13点】

FP相談などを支援するAIエージェントの開発・β版展開を進めています。

将来の事業モデルとしては非常に面白い一方、今回確認できた公開情報では、本番利用後の定量成果がまだ十分ではありません。

本ランキングでは将来性より現在実績を優先するため13位です。


第14位タイ エージェントIGホールディングス【0点】

保険代理店DXや独自システムへの取り組みは確認できます。

しかし今回の公開情報走査では、固定した採点アンカーを満たすAI固有の本番実績・日常利用率・定量成果を確認できませんでした。

0点は「AIを使っていない」と断定する意味ではありません。

公開情報だけでは、今回の評価基準で点を付けられる証拠を確認できなかった

という意味です。


第14位タイ FPパートナー【0点】

DX、人材教育、業務高度化への取り組みは進めています。

一方、2026年8月22日時点の公開情報では、今回の採点アンカーを満たすAI固有の本番利用・実利用率・定量成果を確認できませんでした。

こちらも0点は「AIを使っていない」という意味ではありません。

情報開示が増えれば、次回ランキングで大きく動く可能性があります。


保険業界全体を調べて分かったこと

1.「AIを導入した」だけでは差がつかない

保険業界でも生成AIを導入すること自体は珍しくなくなりました。

差が出るのは、

導入
→ 利用
→ 定着
→ 現場社員による改善
→ 保険本業への実装
→ AIエージェント化
→ 顧客体験・収益・競争力への寄与

のどこまで進んでいるかです。

東京海上が1位になった最大の理由も、AIを導入したことではなく、引受・価格設定・保険金支払という保険の中核までAIを実装したことです。


2.利用率が高い会社と、本業変革が深い会社は別

SOMPOやライフネット生命は、AIの実利用率が比較的明確です。

一方、SBIインシュアランスグループは全社員の利用率こそ分かりませんが、保険金支払やコールセンターという本業で非常に強い成果を出しています。

つまり、

「社員がAIをどれだけ使うか」

と、

「AIが本業をどれだけ変えたか」

は別の評価軸です。


3.「全社員に導入」と「全社員が利用」は別

保険業界のAI関連資料では、

「全社員へ導入」
「全社員が利用可能」
「利用率100%」

という強い表現が登場します。

しかし、

利用できる状態

と、

実際に継続利用している状態

は違います。

ライフネット生命の「100%」も、詳細を確認すると一度でも利用した社員の割合でした。

見出しだけで順位を決めると、簡単に評価を誤ります。


4.「将来○万時間削減」と「すでに削減した」は別

保険業界でも、

  • 年間○万時間削減予定
  • 初年度○時間削減見込み
  • PoCで○%削減
  • 将来的にAIエージェントを全社展開

といった数字が数多く登場します。

しかし、

削減できると試算したこと

と、

本番で実際に削減したこと

は別です。

本ランキングでは、将来効果が大きいだけでは高得点にはしていません。


5.保険会社と保険代理店を同じ物差しで雑に比較してはいけない

今回の最終監査で重要だったポイントです。

東京海上やSOMPOには、

  • 引受
  • 価格設定
  • 保険金支払

があります。

一方、アドバンスクリエイトやアイリックは保険代理店・プラットフォーム企業なので、そもそも同じ業務を持っていません。

そのため、

「引受AIがないから低得点」

という採点では不公平です。

各社が実際に営む本業の価値連鎖を基準に、どこまでAI化しているかを評価しました。


6.AIを「売っている会社」が必ず上位ではない

アイリックのように、AI-OCRや保険向けAIサービスそのものを事業として提供する企業もあります。

しかし、

AI商品を売っていること

と、

自分自身の会社をAIで変革していること

は別です。

このランキングでは両者を分離しました。

自社のAI改革で得た知見を新サービスへ発展させている場合には、業態変革として評価しています。


今回の結論

2026年8月22日時点で、保険業界で最もAIを「使い倒している」と評価した企業は、

🥇 東京海上ホールディングス

です。

AIの日常利用率だけならSOMPOやライフネット生命にも強みがあります。

一方、東京海上は、

引受
価格設定
保険金支払
損害分析
代理店支援
顧客対応

まで、AIを保険の価値連鎖全体へ広げています。

そして今回のランキングでは、初期調査から最終確定までに順位が何度も動きました。

特に、

かんぽ生命 5位
SBIインシュアランスグループ 6位
アドバンスクリエイト 7位

という結果は、「大手保険会社だからAI改革も強い」とは限らないことを示しています。

企業規模とAI改革の本気度は、必ずしも比例しません。

半年後、各社のAIエージェント本番利用、MAU、削減時間、引受・保険金支払への実装がどこまで進むのか。

このランキングは継続して追跡する価値がありそうです。


エントリー企業一覧

2026年8月22日時点で、本ランキングの母集団とした一般市場の「保険業」上場15社です。

大手保険・保険持株会社

8630 SOMPOホールディングス
8725 MS&ADインシュアランスグループホールディングス
8729 ソニーフィナンシャルグループ
8750 第一ライフグループ
8766 東京海上ホールディングス
8795 T&Dホールディングス

生命保険・ネット保険・保険グループ

7157 ライフネット生命保険
7181 かんぽ生命保険
7326 SBIインシュアランスグループ
8715 アニコム ホールディングス

保険代理店・FP・保険プラットフォーム

377A エージェントIGホールディングス
7325 アイリックコーポレーション
7343 ブロードマインド
7388 FPパートナー
8798 アドバンスクリエイト

TOKYO PRO Marketの中央インターナショナルグループ(7170)と日本総険(5840)は、本ランキングの母集団から除外しています。


注意事項

本ランキングは、2026年8月22日時点で公開されている企業IR、統合報告書、有価証券報告書、公式発表、導入事例などをもとに独自に評価したものです。

非公開の社内施策については評価できないため、情報開示の多寡によって評価に差が生じる可能性があります。

0点は「AIを使っていない」という意味ではなく、公開情報では採点基準を満たす証拠を確認できなかったことを意味します。

また、本ランキングは企業のAI活用状況を比較する企画であり、企業価値、株価、財務健全性、投資魅力度を直接評価するものではありません。

投資判断は、業績、財務、株価、事業環境、競争力、リスクなどを含めて総合的に判断してください。

調査基準日:2026年8月22日
評価方法:公開情報ベース・独自評価/採点アンカー v1.1

Copied title and URL