【2026年9月基準】銀行79社のAI変革ランキング|SBI新生銀行が首位、利用・本業・成果の違いを読む

首位はSBI新生銀行の57点。2位は楽天銀行の56点、3位は山口フィナンシャルグループの54点でした。

この順位から読み取りたいのは、「どの銀行が有名か」ではなく、AIがどの仕事に入り、何を変えたのかです。全社員が使える生成AI、融資審査を支える分析、顧客への回答、社内知識の検索、AIを外部へ提供する事業。同じAI活用でも、変革の場所と深さは異なります。

本記事では、銀行・銀行持株会社79社を6つの評価軸で比較し、全順位と点数を公開します。主要企業の強みだけでなく、数値を採用しなかった理由や、点数からは分からないことも整理します。

このランキングの対象
母集団:2026年7月31日/情報基準日:2026年9月5日/正式受領版:2026年10月9日/編集・資料化:2026年10月10日/固定基準v1.3
公開資料に基づく独自評価です。現在の株価、財務健全性、企業価値、投資魅力度の順位ではありません。

最初に確認したいこと
0点はAIを利用していないという意味ではありません。定めた調査範囲と基準日までの公開情報から、加点条件を満たす取り組みを確認できなかったことを示します。非公開の取り組みや基準日後の発表は含みません。

  1. 銀行79社の全順位・6軸内訳
  2. 上位3社は、どこが違うのか
    1. 1位 SBI新生銀行|本業の複数工程と、実測の改善を評価
    2. 2位 楽天銀行|与信・マーケティング・顧客対応を、経営の仕組みへ
    3. 3位 山口フィナンシャルグループ|営業と融資で、作業の前後が見える
  3. 4~10位:大手・地域銀行それぞれの強み
    1. 4位 セブン銀行|利用率の実績と目標を分ける
    2. 5位 三井住友トラストグループ|顧客回答の工程改善と専門組織
    3. 6位 三菱UFJフィナンシャル・グループ|本部の利用とグループ全体は別
    4. 7位 群馬銀行|融資支援と顧客向け診断に広がる
    5. 8位 三井住友フィナンシャルグループ|高頻度利用と推進体制
    6. 9位 りそなホールディングス|全社員の基盤と外部へのAI提供
    7. 10位 みずほフィナンシャルグループ|本番と検証値を切り分ける
  4. 総合順位だけでは見落とす4社
    1. 宮崎銀行:特定の融資工程で大きな改善
    2. 横浜フィナンシャルグループ:「約20%」を境界として丁寧に扱う
    3. 千葉銀行:AIを外部事業にすることと、銀行全体のAI化は別
    4. 十六フィナンシャルグループ:申込の流れが変わるAI
  5. 79社を同じ物差しで見ると、何が分かるか
    1. 1.使う環境の整備と、定着の証明には距離がある
    2. 2.本業へ入ったことと、大きな成果を出したことは別
    3. 3.社員が「使う」と「自分で作って本番運用する」は違う
    4. 4.顧客接点や収益モデルの変化は、内部効率化と分けて見る
  6. 採点方法と、読み違えないための注意点
  7. 結論:順位よりも、AIで変わった仕事を見る
  8. 比較・出典資料について
  9. 主要出典

銀行79社の全順位・6軸内訳

A=AI日常浸透度(25点)、B=本業変革度(25点)、C=実現済み成果(20点)、D=社員の自律AI化(15点)、E=組織・制度化(10点)、F=AIによる業態変革(5点)。合計100点です。

総合点が同じ場合は、B→C→A→D→E→Fの順に比較します。全6軸が同じ場合だけ同順位です。例えば群馬銀行と三井住友フィナンシャルグループはともに48点ですが、本業変革度の比較で7位と8位に分かれています。

順位コード企業名A
25
B
25
C
20
D
15
E
10
F
5
総合
18303SBI新生銀行14201263257
25838楽天銀行14204610256
38418山口フィナンシャルグループ17151263154
48410セブン銀行1720437152
58309三井住友トラストグループ101512310151
68306三菱UFJフィナンシャル・グループ10151267050
78334群馬銀行1415467248
88316三井住友フィナンシャルグループ17104610148
98308りそなホールディングス14104610246
108411みずほフィナンシャルグループ175867144
118393宮崎銀行14101233143
127186横浜フィナンシャルグループ1010867041
138358スルガ銀行1410465241
147167めぶきフィナンシャルグループ1415460140
157381CCIグループ1710463040
168359八十二長野銀行1710435140
177189西日本フィナンシャルホールディングス1710063238
188368百五銀行1410435036
195831しずおかフィナンシャルグループ145467036
208341七十七銀行1410433135
218377ほくほくフィナンシャルグループ175463035
218395佐賀銀行175463035
237337ひろぎんホールディングス1010463134
248366滋賀銀行145465034
255844京都フィナンシャルグループ1015033132
268360山梨中央銀行1410035032
277327第四北越フィナンシャルグループ1010065031
288345岩手銀行145435031
298331千葉銀行510037530
308354ふくおかフィナンシャルグループ510435128
318370紀陽銀行145035027
328381山陰合同銀行510433126
337380十六フィナンシャルグループ510430325
348714池田泉州ホールディングス145033025
357161じもとホールディングス510033223
368558東和銀行105430022
378338筑波銀行145030022
378344山形銀行145030022
378361大垣共立銀行145030022
378542トマト銀行145030022
418367南都銀行510400120
428524北洋銀行55405120
437180九州フィナンシャルグループ510003119
448362福井銀行145000019
448522名古屋銀行145000019
468346東邦銀行105030018
475830いよぎんホールディングス105003018
487182ゆうちょ銀行55035018
487322三十三フィナンシャルグループ55035018
508365富山銀行510000116
518387四国銀行55033016
518388阿波銀行55033016
538399琉球銀行55400014
547173東京きらぼしフィナンシャルグループ55003114
558304あおぞら銀行55030013
558336武蔵野銀行55030013
558343秋田銀行55030013
558544京葉銀行55030013
598550栃木銀行55003013
608337千葉興業銀行55000010
608383鳥取銀行55000010
608386百十四銀行55000010
608392大分銀行55000010
647389あいちフィナンシャルグループ0000505
648600トモニホールディングス0000505
665832ちゅうぎんフィナンシャルグループ0000303
668349東北銀行0000303
668541愛媛銀行0000303
668551北日本銀行0000303
707150島根銀行0000000
公開根拠未確認
707184富山第一銀行0000000
公開根拠未確認
707350おきなわフィナンシャルグループ0000000
公開根拠未確認
707384プロクレアホールディングス0000000
公開根拠未確認
708364清水銀行0000000
公開根拠未確認
708416高知銀行0000000
公開根拠未確認
708537大光銀行0000000
公開根拠未確認
708562福島銀行0000000
公開根拠未確認
708563大東銀行0000000
公開根拠未確認
708713フィデアホールディングス0000000
公開根拠未確認

出典:本企画の「全79社ランキング」「6軸採点理由」2026年10月9日正式受領版。企業名・証券コードも同版の表記を使用しています。編集日が10月10日でも、10月10日現在の全社状況へ更新したランキングではありません。

上位3社は、どこが違うのか

1位 SBI新生銀行|本業の複数工程と、実測の改善を評価

SBI新生銀行は、A14・B20・C12・D6・E3・F2の計57点。評価の中心は、本業の3領域への実装と、工程の改善を示す定量的な根拠です。

2025年4月25日の発表では、100以上の行内業務が生成AIを活用したプロセスへ移行し、各業務の業務時間削減率の中央値が約30%に達したと説明されています。一方、社内文書検索に関する約7割の削減は期待値として分けています。「約30%」を銀行全体の人件費削減率や、利益の増加率へ置き換えることはできません。[1]

本業では、法人顧客との交渉履歴の要約などを営業・提案、企業融資の審査情報の整理を融資・審査、AIによる電話窓口を事務・顧客対応として評価しています。同じ法人顧客に関係する仕事でも、営業と審査は異なる工程です。逆に、100以上の用途があるから100領域へ広がったとは数えません。[2][3]

分析:個々の便利ツールの導入だけでなく、銀行の仕事の進め方が複数箇所で変わっていると読めます。ただし、全社員向けの環境提供は定期利用率を意味せず、ワークショップやアイデアの実用化も、現場社員自身によるAI構築をそのまま証明するものではありません。電話窓口の将来の対応拡張も先取りしていません。

2位 楽天銀行|与信・マーケティング・顧客対応を、経営の仕組みへ

楽天銀行は56点。SBI新生銀行と同じ本業変革20点ですが、実現済み成果は4点、組織・制度化は10点です。総合点は1点差でも、得点の中身はかなり違います。

2026年7月24日の公式発表では、与信スコア、マーケティング、顧客向けAIチャットなどへの活用、全行員が利用できる環境と教育が説明されています。24時間365日の応答や品質向上は評価していますが、前後比較・測定条件のそろった大きな数値成果とは分けています。[4]

2026年3月期の決算説明資料には、社長主導のAI推進委員会、全部署のAI推進担当、取締役会・経営会議への報告・協議という体制が示されています。単に「AIに積極的」という方針ではなく、経営上の責任と各部署の運用を結び付けた仕組みとして評価しています。[5]

分析:AIを個別案件で終わらせず、どの業務へ優先的に使うかを全社で扱える体制が強みです。一方、その仕組みが利益や信用コストをどの程度変えたかは、今回の点数だけでは分かりません。受賞歴そのものを加点理由にしたランキングでもありません。

3位 山口フィナンシャルグループ|営業と融資で、作業の前後が見える

山口フィナンシャルグループは54点。営業・提案と融資・審査の2領域に加え、企業分析資料の作成時間がどう変わったかを追える点が特徴です。

統合報告書2026のDX戦略では、約2,600人による日常的なAI利用、商談音声の要約・活動記録作成支援、3行での企業分析支援などが説明されています。人数と日常的な利用は認める一方、グループ全体の分母・期間がそろう定期利用率へは置き換えていません。[6]

企業分析資料作成は、従来30分~1時間から約5分へ短縮したと図示されています。下限の30分を使えば、単純計算は(30-5)÷30×100=約83.3%です。ただし約5分という概数に基づく計算であり、銀行全体の効率化率ではありません。導入後3か月で約5,500回の利用という記載も、作業時間の改善率がその全件で測定されたという意味にはしません。[7]

分析:日々の営業・融資で、知識や情報を整理する時間を減らす方向が見えます。ただし、浮いた時間がそのまま融資実行額や利益の増加へ変わったとは断定できません。共有プロンプトやAI研修も、現場社員製のAIが本番運用されている証拠とは区別しています。

4~10位:大手・地域銀行それぞれの強み

4位 セブン銀行|利用率の実績と目標を分ける

セブン銀行は52点。2024年度の社内生成AI「7Bank-Brain」の社員MAU率30.1%を評価し、2026年3月時点の75%という目標を実績として採用していません。MAUは月間の利用者に関する指標であり、アカウントを配った人数とは違います。[8]

本業変革は20点。顧客事務、連結会社ACSiONの不正検知、ATMの現金需要予測・維持運用を固定した3領域へ対応させています。部品の故障予測だけで預金・決済全体のAI化を主張したり、市民開発79件をAIの制作件数へ置き換えたりはしていません。AI・データ戦略部とAI利活用ポリシーは、組織・制度化7点の根拠です。[8][9]

分析:ATM運用を含む自社のサービス構造に沿ったAI活用が見えます。一方、AIチャットの直接利用者が顧客かオペレーターかを十分に切り分けられない箇所は、顧客が直接使うAIとして高く評価していません。

5位 三井住友トラストグループ|顧客回答の工程改善と専門組織

三井住友トラストグループは51点。2025年度中間期の資料では、DC WEB相談における顧客質問への回答案作成時間を約89%削減したと説明されています。これは回答案を作る工程の改善であり、相談全体の所要時間や全社の労働時間が89%減ったという意味ではありません。[10]

生成AIの専門組織であるCoE、AI・デジタル戦略の役員責任、取締役会の監督、グループの方針を評価し、組織・制度化は10点。全店舗での顧客回答支援と、監査インタビュー分析などを異なる本業領域として扱っています。約3,000時間という別の削減値は、集計期間を補って年間の大成果にはしていません。[11][10]

分析:顧客対応を支える専門的な知識業務と、AIを継続運用する体制の両方に強みがあります。ただし、専門エンジニアによる開発を、非専門の現場社員が自ら作ったAIと同じには扱っていません。

6位 三菱UFJフィナンシャル・グループ|本部の利用とグループ全体は別

MUFGは50点。金融商品のターゲティングと不正な入出金の異常検知を、営業・提案とリスク・コンプライアンスの2領域として評価しています。[12]

三菱UFJ信託銀行の問い合わせ対応時間50%削減は、本番工程の大きな改善として成果12点へ接続しています。一方、AI-bowについての「本部社員の2人に1人」という利用を、グループ全社員の50%利用へ拡大していません。[13][14]

分析:個別の大きな成果と、グループ全体の浸透は分けて考える必要があります。今回の50点を「AI能力が中程度」と読んだり、会社規模に対して取り組みが不足していると断定したりするのは適切ではありません。

7位 群馬銀行|融資支援と顧客向け診断に広がる

群馬銀行は48点。2026年5月に導入したAI Buddyの融資案件・財務相談の支援や確定申告書の読み取り・登録、AIを使ったSDGs・ESG経営の診断レポートを評価しています。融資・審査と営業・提案の2領域です。[15][16]

全職員向けのAI環境、教育、AI・データ戦略室なども得点を支えます。一方、定性的な改善を、比較条件のそろった数値実績へ膨らませていないため、成果は4点です。[17]

分析:社内の作業支援だけでなく、顧客が自社の状態を理解するためのAI出力にも活用している点が特徴です。総合点が同じSMFGとの順位差は、この本業領域の違いによります。

8位 三井住友フィナンシャルグループ|高頻度利用と推進体制

SMFGも48点。SMBC-GAIと社内文書の横断検索では広い高頻度利用を認め、浸透度は17点。法人営業のAIアプリケーションは、ニーズ整理・商品提示・提案の具体化という営業・提案の1領域に計上しています。[18][19]

役員の責任、横断チーム、AIトランスフォーメーション推進部などを制度化として評価し、Eは10点です。投資予算の大きさだけで加点したわけではなく、削減見込みを実績にはしていません。[20]

分析:利用を広げ、組織として推進する力が見えます。ただし、投稿件数が多いことだけで融資・決済など別々の主要業務が本番AI化されたとは判定していません。

9位 りそなホールディングス|全社員の基盤と外部へのAI提供

りそなホールディングスは46点。全社員が利用できるAI基盤、社内教育、CoE、経営レベルのAI戦略責任を評価しています。本業は、営業分析・支援という1領域を確認した評価です。[21]

DataIgnitionでは、銀行業務で培ったAIモデルの外部提供を確認しています。ただし、外部提供の存在だけで、継続した有償対価やAI事業の収益まで推定していません。したがって、業態変革は2点です。[22]

分析:内部のAI利用と、他行へ知見を届ける方向の両方が見える企業です。これが収益モデルの変革にどこまでつながっているかは、契約・継続利用・収益に関する追加の開示と分けて見る必要があります。

10位 みずほフィナンシャルグループ|本番と検証値を切り分ける

みずほFGは44点。議事録自動化アプリ「めんきくん」は、2025年12月末の月間利用者約8,000人・グループ内利用率20%超という記載を浸透度17点の根拠にしています。会議・面談の記録を作る支援と、融資審査そのものの本番処理は分けた評価です。[23]

みずほ証券のMOAIサーチでは、解決率30%から約96%への改善が紹介されていますが、これはリリース前のユーザーテストの数値です。その後の実業務利用は認めつつ、約96%を本番運用期間の実測値には置き換えず、定量検証を経た本番化として成果8点にとどめています。[24]

分析:検索・記録という日常業務の変化は見えます。一方、CRM分析の将来構想や融資AIの実証を、既に動いている本業領域に加えていないため、この順位になっています。

総合順位だけでは見落とす4社

宮崎銀行:特定の融資工程で大きな改善

11位・43点の宮崎銀行は、融資意見書のドラフト作成について約95%の時間削減を評価しています。全店で使う1つの職種のAIを、全職種の利用へ拡大するのではなく、別資料の全行員向けチャット環境と切り分けています。融資意見書作成の時間が減ることと、融資判断の全過程や信用リスクが同じ割合で改善することは別です。[25][26]

横浜フィナンシャルグループ:「約20%」を境界として丁寧に扱う

12位・41点の横浜FGは、接触記録に関する管理業務の改善などを評価しています。公式の「約20%」という改善値は、本番工程の定量成果として認めていますが、丸められた値から「確実に20%以上」とは断定していません。そのため成果は8点。融資PoCに付随する年間19,500時間の削減見込みも、実績とは別です。[27]

これは改善が小さいという断定ではなく、このランキングの「大きな成果」の閾値を超えたと確実に言えるか、という証拠の扱いの違いです。

千葉銀行:AIを外部事業にすることと、銀行全体のAI化は別

29位・30点の千葉銀行は、業態変革Fで5点です。連結対象のエッジテクノロジーがAI製品・AIコンサルティングを対外収益事業として運営していることを評価しています。一方、銀行本体のマーケティングモデルは1つの本業領域として扱い、連結AI企業の技術者の活動を全行員の利用率へ広げていません。[28]

AIの事業化という軸で強くても、他の5軸を自動的に高得点にはしない。この分離が、総合順位だけでは見えない特徴を残しています。

十六フィナンシャルグループ:申込の流れが変わるAI

33位・25点の十六FGでは、住宅ローンのAI-OCRによる申込書のデータ化、システムとの自動連携、正式申込の非対面化などを業態変革3点へ接続しています。社員が便利になるだけでなく、申込工程そのものの変化を捉えた評価です。グループでの一般的な業務ツールの導入社数を、生成AIの全社利用範囲へ置き換えてはいません。[29][30]

79社を同じ物差しで見ると、何が分かるか

1.使う環境の整備と、定着の証明には距離がある

正式ランキングを集計すると、AI日常浸透度で14点以上は30社。そのうち17点は9社ですが、20点以上の企業はありません。これは「定期利用率40%以上の銀行が存在しない」という意味ではありません。評価対象となる会社範囲、分母、期間、定期利用の定義をそろえた証拠が必要なためです。

分析:全社員への配布や利用者数を並べるだけでは、日常業務への定着を比較しきれません。同じ「利用率」でも、銀行単体かグループ全体か、一度でも使った人か、一定期間に繰り返し使う人かで、数字の意味が変わります。

2.本業へ入ったことと、大きな成果を出したことは別

本業変革度が10点以上、つまり少なくとも主要1領域で本番AIを確認した企業は30社でした。一方、実現済み成果が12点に達した企業は5社です。成果4点の24社では本番改善を認めていますが、比較可能な定量値や測定条件が高い段階の評価には足りません。

分析:本番導入の広がりと、効果の比較可能性は違う課題です。導入しただけでは高い成果点にならず、大幅な削減見込みを掲げただけでも実績へは変換されません。成果0点の企業についても、効果がなかったという断定はできません。

3.社員が「使う」と「自分で作って本番運用する」は違う

社員の自律AI化は、今回の79社すべてが6点以下でした。広い利用、研修、プロンプト共有、アイデアの実用化があっても、それだけで現場社員自身がAIツールやエージェントを構築して本番利用したと認定するわけではありません。

分析:次の変化を追う際は、AIの個数だけでなく、誰が作ったのか、どの業務で使われているのか、他部署でも再利用されているのかが重要になります。公開証拠の不足を、現場に作り手がいないことの証明にはしない点にも注意が必要です。

4.顧客接点や収益モデルの変化は、内部効率化と分けて見る

業態変革で2点以上は9社、3点以上は2社でした。顧客向けの直接的なAI応答、申込工程の変更、AIによる対外収益事業は、社員用の文書要約・検索とは異なる変化です。

分析:利用を広げる企業、専門業務を深く変える企業、AIを外部事業にする企業を一列に並べると、総合点だけでは目的の違いが見えにくくなります。自社での導入の参考にするなら、自分の課題に近い軸から企業を選び、実際の工程を確認する読み方が適しています。

採点方法と、読み違えないための注意点

本企画は、JPXの銀行業に対応する銀行・銀行持株会社を、固定した母集団で比較しています。採点単位は上場会社本体と連結子会社から成るグループです。提携先・顧客・持分法会社などの成果を、対象グループ自身の実績として加えることはしません。

銀行の主要な仕事は、①顧客獲得・口座開設、②預金・決済、③融資・審査、④市場・運用、⑤営業・提案、⑥事務・顧客対応、⑦リスク・コンプライアンスの7領域を基準にしています。同じ工程に複数のAI機能があっても、領域数を重複して増やしません。

原則として、情報基準日の24か月前に当たる2024年9月5日から2026年9月5日までの公式資料を中心に評価しています。古い施策を現在点へ使う場合は、期間内の資料で継続を確認するルールです。資料を後日取得した日を、発表日や稼働日へ置き換えることはしません。

成果は、一定期間の本番実績(Q1)、実現した工程の前後比較(Q2)、本番前の定量検証(Q3)、定性的な本番改善(Q4)を区別します。目標・見込み・試算や、AIだけの効果に分けられないDX全体の数値は、実現済みのAI成果として加点しません。

公開情報の限界も残ります。非公開の取り組みは評価できず、情報開示が多い企業が有利になる可能性があります。小さな点差を絶対的な優劣とは扱わず、利用率・成果・制度のどこに根拠があるかを確認してください。ランキングは将来利益や株価を予測するものではありません。

原本の保管についても、元の正式受渡し版には全冊保存未完了、旧保存時点未証明、PC保存場所不明の注記と、一部原本の配布除外が残っています。今回の記事・販売資料は出典情報と評価を整理したもので、全公式原本の収録や再取得・再監査を示すものではありません。宮崎銀行の該当資料は、旧表記の54頁ではなくPDF物理55頁・印刷11頁を使用しています。

結論:順位よりも、AIで変わった仕事を見る

今回の首位は、複数の本業領域と工程改善を確認できたSBI新生銀行でした。楽天銀行は全社制度、山口FGは日常利用と営業・融資の作業改善に特徴があります。大手だから必ず首位になるわけでも、特定のAI事業を持つだけで全軸が高くなるわけでもありません。

この79社比較から見えてくるのは、「AIを導入したか」という一問では銀行の変化を捉えきれないということです。どの社員が使い、どの仕事を変え、改善をどの条件で確認したのか。次の更新でも、導入発表の件数より、この違いを追うことが重要です。

比較・出典資料について

本記事の全順位と主要分析は無料で公開しています。別途、79社・474評価軸の理由と出典をたどれるExcel、CSV・JSON、PDFガイド、ブラウザ用比較画面をまとめた資料集を用意しています。ランキングの続きを隠すものではなく、企業の比較や根拠の確認にかかる手間を減らすための資料です。

noteの出典・比較資料集を見る

主要出典

下記は本記事の主要な参照先です。資料名・日付・本文位置は正式受領版の出典記録を基に記載しています。ここに示すURLは外部の公開資料へのリンクであり、資料の著作権を販売するものではありません。

[1] SBI新生銀行|社内文書の検索・要約に特化した生成AIシステムを全社的に利活用開始
資料日:2025-04-25/位置:PDF p1 本文最終段落・注2/証拠ID:R16-8303-SBISHINSEI-20250425

[2] SBI新生銀行|SBI新生統合報告2025
資料日:2025-07/位置:PDF p41; PDF p42/証拠ID:COVNEW-8303-4d02fae2fdbb

[3] SBI新生銀行|AI窓口対応範囲拡大
資料日:2026-07-15/位置:PDF p1/証拠ID:COVNEW-8303-81b47e436990

[4] 楽天銀行|楽天銀行、『Global Finance World’s AI In Finance Awards』において『Country Winner』を2年連続で受賞
資料日:2026-07-24/位置:公式プレスリリース本文、統合報告書2025 p21、トップメッセージ本文、2026年3月期IR p67-68/証拠ID:R16-5838-RAKUTEN-20260724

[5] 楽天銀行|楽天銀行2026年3月期決算説明資料
資料日:2026-05-12/位置:PDF p68/証拠ID:COVNEW-5838-c72478ba57a9

[6] 山口フィナンシャルグループ|YMFG統合報告書2026:DX戦略
資料日:2026-08-31/位置:印刷pp53–56(PDF p12–13 / index11–12)/証拠ID:REV5-8418-DX-IMPLEMENTATION-20260831

[7] 山口フィナンシャルグループ|YMFG統合報告書2026:DX戦略
資料日:2026-08-31/位置:印刷p55 左下「事業性融資業務のデジタル化」図、PDF index12/証拠ID:REV5-8418-Q2-RESULT-20260831

[8] セブン銀行|統合報告書2025(印刷推奨)
資料日:2025-07-31/位置:公式PDF p.24(重点課題・2024年度実績)/証拠ID:R16-8410-SEVENBANK-7BANKBRAIN-20250731

[9] セブン銀行|セブンAI利活用政策
資料日:2024-12-20/位置:HTML「AI利活用ポリシー」見出し・序文・第1~4項・制定日(保存原本行565–607)/証拠ID:COVNEW-8410-eaadc6767321

[10] 三井住友トラストグループ|2025年度中間期決算説明会(AI活用による業務改革)
資料日:2025-11-19/位置:公式PDF p29(TrustBRAIN、DC WEB相談89%、約3,000時間削減)/証拠ID:R16-8309-SMTH-IR-20251119-AI

[11] 三井住友トラストグループ|三井住友トラストグループ統合報告書2025(AI活用)
資料日:2025-07/位置:公式PDF p38-39(全店舗利用、FutureX、CoE、具体事例)/証拠ID:R16-8309-SMTH-REPORT2025-AI

[12] 三菱UFJフィナンシャル・グループ|攻めと守りの両面でAI-Nativeな企業への変革に貢献する
資料日:2026-03-03/位置:PDF p1/証拠ID:COVNEW-8306-1a70b0950224

[13] 三菱UFJフィナンシャル・グループ|技術で実現する学ばないDXの新時代
資料日:2025-02-05/位置:本文 導入効果/証拠ID:R1-8306-20260909-MUIP

[14] 三菱UFJフィナンシャル・グループ|MUFG Report 2025
資料日:2025/位置:PDF p57 AI-bow利用・手続検索・研修/証拠ID:R1-8306-20260909-MUFGREPORT

[15] 群馬銀行|生成AIツールAI Buddyの導入および活用状況
資料日:2026-05-25/位置:公式HTML本文(2026-05-11導入、対象者約6割、累計約4,000件)/証拠ID:R16-8334-GUNMA-AIBUDDY-20260525

[16] 群馬銀行|群馬銀行レポート2025統合報告書本編
資料日:2025-07/位置:PDF p35; PDF p47/証拠ID:COVNEW-8334-0b37f003e39f

[17] 群馬銀行|生成AI活用の取組み状況について
資料日:2025-11-27/位置:公式HTML本文(ぐんぎんAIチャット、全行員利用、AI・データ戦略室)/証拠ID:R16-8334-GUNMA-GENAI-20251127

[18] 三井住友フィナンシャルグループ|SMBC-GAI、130万件の社内文書ファイルを横断検索へ
資料日:2026-02-19/位置:本文 導入・用途・内製・見込み効果/証拠ID:R1-8316-20260909-RAG

[19] 三井住友フィナンシャルグループ|ホールセールビジネスの高度化に向けた営業推進AIアプリケーションの導入開始
資料日:2026-04-24/位置:PDF p1/証拠ID:COVNEW-8316-5f77b8203e58

[20] 三井住友フィナンシャルグループ|3年連続「DX銘柄」選定。初の「DXグランプリ企業」へ。SMBCグループが描くAI時代の企業変革
資料日:2026-07-30/位置:PDF p1/証拠ID:COVNEW-8316-45b459b122c1

[21] りそなホールディングス|りそな統合報告2025
資料日:2025-07-31/位置:PDF p40/証拠ID:COVNEW-8308-9e4fb01d208d

[22] りそなホールディングス|りそなグループ統合報告書2025 Section 2
資料日:2025-07-31/位置:公式PDF p76付近(生成AIによる業務変革)/証拠ID:R16-8308-RESONA-AI-REPORT2025

[23] みずほフィナンシャルグループ|会議の記録が変わった日。月間8,000人が使う議事録自動化アプリ「めんきくん」開発ストーリー。
資料日:2026-03-13/位置:公式資料本文/証拠ID:R1-8411-20260909-MENKI

[24] みずほフィナンシャルグループ|みずほ証券が生成AIを活用した社内文書検索システムを開発
資料日:2025-04-24/位置:公式資料本文/証拠ID:R1-8411-20260909-MOAI

[25] 宮崎銀行|2025年3月期決算短信・決算説明資料
資料日:2025-05-09/位置:PDF physical page 55 / printed page 11 / 当行の取り組み②・融資業務における生成AIの利活用(旧locator p54は文字列誤記。採用claim_positions p55を表示)/証拠ID:R16-8393-宮崎BANK-GENAI

[26] 宮崎銀行|宮崎銀行統合報告書2025
資料日:2025-09/位置:PDF p18; PDF p29/証拠ID:COVNEW-8393-9e1e22b79ec2

[27] 横浜フィナンシャルグループ|コンコルディア・フィナンシャルグループ 統合報告書2025(片開き本編)
資料日:2025-07-30/位置:PDF p98-99(印刷pp97-98)、PDF p142(奥付)/証拠ID:COVNEW-7186-3a61cce2699e

[28] 千葉銀行|千葉銀行統合報告書2025(DX・AI)
資料日:2025-07/位置:出典索引の頁位置は未記録。評価理由に記載された本文箇所を参照。/証拠ID:R16-8331-CHIBABANK-REPORT2025-AI

[29] 十六フィナンシャルグループ|2025年3月期 決算説明会資料
資料日:2025-05-29/位置:公式PDF p29/証拠ID:R16-7380-JUROKU-20250529

[30] 十六フィナンシャルグループ|第4期定時株主総会招集通知
資料日:2025-05-23/位置:PDF p32/証拠ID:COVNEW-7380-ef8544552cf5

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